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石丸元章 『SPEED スピード』

先般、久しぶりに友人のO君に会った。出会い頭に開口一番、
「おまえ太った?」
と言われて傷ついた。ち、違うんだ。太っているように見えるが、実はこれはすべて筋肉なんだ。
そんな彼から誕生日プレゼントとして帽子を貰った。



帽子 さっそくかぶってみよう。















帽子と私 すべて偽りなき筋肉。



僕がゴンゾー・ジャーナリズムについて知ったのは映画『ラスベガスをやっつけろ!』を観たのがきっかけでした。ジョニーデップ主演の、二人の薬物中毒者がラスベガスで違法薬物を喫しながら天国を幻視したり地獄に堕ちたりする話です。ポップでユニークな映画で、個人的には(同じくドラッグを扱った映画の)『レクイエム・フォー・ドリーム』より百倍面白いと思っています。
あまり面白かったのでこの映画について調べてみたところ、どうやらこの映画には原作があるようでそれが『ラスベガスをやっつけろ』という同名の小説(小説? 未だ読んでいないので確言はいたしかねますが)。筆者はハンター・S. トンプソンというジャーナリスト。そして彼の作風が「ゴンゾー・ジャーナリズム」と呼ばれていた。
ゴンゾーとは「gonzo」、僕の手持ちの電子辞書には載っていませんでしたが「ならず者」「常軌を逸した」という風な意味を持つ言葉だそうです。僕の印象で言えばゴンゾー・ジャーナリズムとはジャーナリスト自身が事件の渦中に突っ込んでいき当事者になって書く、ということのようです。


そこまで調べて「ふうん、そんなのも面白いね、私小説みたいで」くらいに思ってすぐに忘れてしまいました。なにせハンター・S. トンプソン以外のゴンゾー・ジャーナリズムを標榜する記者を知らなかったからです。後継者がいなくて滅びたのだろうくらいに思っていました。
ところが先日、違法薬物について調べていたところ、日本にもそのようなジャーナリストがいることを知りました。それがこの石丸元章という薬物中毒者で、その彼の名を世に知らしめたのがこの『SPEED スピード』という本だそうです。


SPEED スピード (文春文庫)SPEED スピード (文春文庫)
(2001/03)
石丸 元章

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購入の決め手は高橋源一郎さんが本書の解説を書いていたからです。ファンなのです。
が、その楽しみにしていた解説も霞むくらいにイカれた内容に圧倒されてしまいました。


石丸元章。ライターで小説家でラジオDJ。法政大学経済学部中退。その作風からゴンゾー・ジャーナリストとも呼ばれる(腕に「GONZO」とタトゥーをいれているとか)。一九九〇年頃に日本の薬物中毒者を取材していたが、次第に自身も覚醒剤の使用に溺れるようになってゆく(私が思うには確信犯的に)。その過程を描いたのが本書『SPEED スピード』。つまり「SPEED=覚醒剤」のことだ。よくこんなタイトルで出版できたなと思うが、内容はさらにおぞましい。


とりあえず頁をめくるとまず目に入るのは「いったい誰に捧げたらいいんだろう――」という献辞。著者の惑乱振りが窺える。これについては最後に書く。
プロローグによると、

本書は、“取材者”である筆者と、そのパートナーであるギター男が巻き込まれた、ドラッグとそのトラブルの記録である。
この本の中の記録は全てがまぎれもない事実であり、書き手によって見ることのできた風景をできる限り正直に書き起こしたものだと断言する。


……薬物中毒の後遺症で苦悶している人間に事実の記述など(というかマトモな文章を書くことなど)可能なのか? それは読んでからのお楽しみ。


本書は違法薬物やその中毒者の実態などを取材・調査するつもりだった筆者が、次第に(というか最初から)薬物に溺れていき、乱痴気騒ぎを起こし、精神崩壊を起こし、挙句に癲癇病院へブチ込まれるまでの過程が「脳が肉離れ」した文体で描かれている。
だからここにはあらゆる薬物とその中毒者が登場する。シンナー・トルエン、コカイン、覚醒剤、LSD、ハルシオン、ラッシュ。従来の違法薬物の名前を列挙するだけの退屈な本とはまったく趣向が異なる。薬物の入手方法から自身の薬理体験まで書いているのだから。


例えばシンナー中毒の少年宅へ取材に行った時のこと。

とにかくひどい状況だった。
赤羽駅から徒歩6分、日当たり最低の木造モルタルアパートの玄関を開けると、目の前のピンクの絨毯にしゃがみ込んでいた少年、彼は慢性のトルエン中毒者。しかも我々が踏み込んだその瞬間も、口にあてたコンビニエンスの白いビニール袋の中には、イカす刺激臭を放つイカれた液体をとっぷりとしめらせて丸められたクリネックスがゴロゴロ入っていた。ロクに口もきけやしない。


「こ、この、わいと、しらあああ。たもあち、でかさ、ん、ん、んへ、このわいと、しああ」
目の前の少年の、かろうじて歯の原型らしき黒い突起物が残っている口元から出てきたこの言葉って、いったい何語なわけ? YES! シンナー語だ。シンナー王国の共通語、シンナー語を操る中毒者のDJ(ディスクジョッキー)に辞書はない。まったく何を言っているかわからない、脳細胞溶解願望者!! シンナーと同時に他のドラッグもキメているのか? どうだっていいさ。どうせコイツが何かの意思を持って行動しようと懸命の努力をしたとしても、頭(ガイコツ)の中のミソは既にドロドロ!! 生命体としての義務を忘れて勝手にシェイクしちゃってるに違いない。大脳と中脳と小脳のもんじゃ焼き。さあ召しあがれ、脳ミソシンナー風味。


駄目だ、書き写していて笑いが止まらない。つい長々と引用してしまった。怒られるかな。


その後、著者は覚醒剤をキメながらホームレスにとび蹴りを喰わせたり、女の子にハルシオンを飲ませて強姦しようと考えたり、クラブで会った他人にハルシオン十錠入りのブラッディマリーを飲ませて意識不明にさせたりと、いったいこれのどこが取材なんだ、全部犯罪行為じゃねえか。殺人未遂も紛れてるぞ。こんなものよく出版できたな。


もちろん最後は『ラスベガスをやっつけろ』でも『レクイエム・フォー・ドリーム』でもお約束の地獄行き。宇宙からの電波を受信し、周囲の人間全員が自分を監視しているような錯覚に陥り、最終的には著者自身が薬物中毒者として「取材される」というオチまでつく。能天気なポップさとダークな雰囲気を双方兼ね備えた至高のドラッグルポだと思う。


「いったい誰に捧げたらいいんだろう――」。もう本当に、誰のための本なんだこれは? とりあえずこれから違法薬物にトライしようと思っている読者諸兄に捧げたらいいんじゃないかな。
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一族の恥晒し

ヤスタカ

Author:ヤスタカ
1987(昭和62)年生れ。東京都練馬区在住。介護業務に従事する傍ら、脳細胞が腐敗するような愚文を執筆。現在は脳のリハビリ中。最近、何故か介護福祉士になった。この国は亡ぶ。

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